吉野川 byラフティングガイドかっしー

はじめてラフティングをしたのは高2の修学旅行。
北海道で、はじめて見るラフティングボート、パドル、ドライスーツ、めっちゃ冷たい水、きれいな自然、ネパールから来たカタコトのガイド、ようてい山、とかをぼんやり覚えている。
なんとなくラフティングを選んだけどめっちゃ楽しかった。
その時はラフティングガイドになろうとまでは全く思わなかったと思う。
楽しい思い出で終わっていた。

ふたたびラフティングをしたのはその5年後。
2012年の夏、四国にて。
保育園の同窓会のメンバー。卒園して以来。
それでも6人集まった。
グループとしてはいい人数。
久々のワクワクと、自分を変えるキッカケを密かに期待して参加した。
当時は高校を出てからずっと実家暮らし、フリーター。
毎日バイト。
でもそんなに稼げない。
環境が悪いわけじゃない。
でももっと何か自由にしたい。
地元から出たい。
他県でも、外国でも、どこでも。
でもどうすればいいかわからん。
ずっと高松で育ったけど、思うように馴染めなかった。

久々にやってみるとやっぱ楽しい。
同じ四国でも別世界。
川の雰囲気、ボートの上の一体感、へんな日本人ガイド、でかい波、岩からジャンプ、ウエットスーツ、ボロボロのハイエース、田舎のベース、
全部が新鮮。

その中でもラフティングガイドの自由な生活にいちばん惹かれた。
夏はガイドとして、冬はそれぞれ自由。
どっか冬山に行ったり、外国を旅したり。
忙しさから少し離れた生活。
何かヒントを見つけた気がした。
その冬、ラフティングのシーズンがちょうど終わった頃、徳島県と高知県のさかいにある、会社の寮に住み込んでトレーニングを始めた。

ふつうはみんな春先からガイドのトレーニングをはじめる。
正味、時期とかあんまりよくわかってなかった。
でも何を覚えるにも人よりも時間がかかるタイプ。
冬からはじめてちょうどよかった。
貯金を崩しながら、時たまアルバイトをしながら練習した。
環境もさながら、出会うガイドたちも個性的でおもしろい。
ラフティングガイドはサラリーだけじゃなくて、一本ガイド、つまりはフリーランスみたいな形でやってる人もけっこういたりする。
そのほかも平日は他で別の仕事をしてて、週末だけ来るガイドもいる。
今でもそうだけど、出会うガイドそれぞれのバックグランドは全く違う。
毎回、新鮮だ。
当時は、筋肉マッチョの先輩、金髪のサーファー、レースラフティングの代表選手、ナンパ師っぽい人、酒乱の人、日本酒を作る人、パワー系の人、ラガーマン、おしゃべりおじさん、三味線弾く人、農家さん、プロパンガス屋さん、カフェの店長、などなど。
一見まとまりはない。
でも川の上ではみんなラフティングガイド。それぞれの個性を出しながら、一つのチームになる。
先輩達からはたくさん学んだ。ガイドのスキルはもちろん、トークに関しても。
自分は口下手。今でもふだんの日常会話がめっちゃ苦手。
ツアー前の安全説明から川の上の世間話まで、人並みに話ができるようになるまでめちゃくちゃ時間がかかった。とにかく、今でもなんとか話せるのはこの人たちのおかげ。本当に感謝。

ラフティング日本一の激流で知られる吉野川。
あまり知られてないけれど、カヤックという1人乗りのボートでもそこを下ることができる。
正式にはホワイトウォーターカヤック。ホワイトウォーターは空気をたくさん含んだ白い水、すなわち激流のこと。静水から激流、滝までも楽しめるエクストリームスポーツ。
はじめは静水から基本を練習。少しずつ流れに出て激流に慣れていき、知識や技術を学ぶ。
ある程度慣れると、思い上がってくる。
そうすると今度は川が「調子に乗るな。」と戒めてくれる。
でもそこが激流、吉野川のいいところ。偉大な師匠である。
ラフティングの会社によってはセーフティカヤックという仕事もある。カヤックでツアーの先頭を行き、全体を見守りながら、何かあれば仲間のガイドやお客さんのために動く役目。
ラフティングと並行してカヤックも練習した。はじめたのは1月から。
くそ寒い。
朝練はライフジャケットが凍ることも。カヤックがひっくり返ると体は水中に。息はできない。
そこでパドルと体をうまく使った ”ロール”という技術で再び水面へ起きあがる。
それができなければカヤックを脱いで川を泳ぐ。これを ”沈脱” という。
3月まではずっと沈脱。寒すぎて嫌で仕方なかった。
4月に入ってようやく流水でロールが上がった。ともに付き合ってくれる仲間がいるから出来ること。仲間と漕ぐのはほんとに楽しい。
おかげで休日も吉野川に出ることが自然とふえた。カヤックで通るのはだいたいラフティングのコース。少しずつだけど自信にもつながる。
数年後には海外の川にも漕ぎに行けるようになった。ニュージーランド、ネパール、モロッコ、スペイン、オーストラリア。次は中南米やアフリカにも漕ぎに行きたい。ラフティングガイドもやってみたい。

ラフティング、カヤックともに、楽しい時だけじゃなく、怖い時もある。そこでしっかり自分と向き合う。そして覚悟を決めたり、ひとまず逃げたり。それも大切な時間。
とにかく吉野川で漕げることは本当に幸せだ。これからもずっと漕いで行きたい。

あっ、さいごにすいません。2019年からハッピーラフトに入りました。ラフティングガイドのタイキです。
Kassy って呼ばれてます。
どうぞよろしくおねがいしまーす!おす!